創棋会通信+α Ⅱ
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【結果発表3回目】ネット作品展「教材に使える10手台」
【結果発表3回目】ネット作品展「教材に使える10手台」
■【結果発表】ネット作品展「教材に使える10手台~詰手筋を学ぶ~」<3回目>
 創棋会のネット作品展「教材に使える10手台詰手筋を学ぶ~」には、15名の方から解答をいただきました。
 解答いただいたのは次の方々です(敬称略、下線の方は教材シリーズに初解答)。
 皆様ありがとうございました。
  石田倫明、蛭子 毅、沖 昌幸、奥鳥羽生、梶谷和宏、金少桂、
  則内誠一郎、占魚亭、中出慶一、西村 章、松崎一郎、松澤成俊、
  山下誠、山城正樹、RINTARO

 多数の方に解答に取り組んでいただきましたこと、あらためて感謝申し上げます。
 詰将棋の面白さを味わえる詰手筋が満載で、二ケタ手数の詰将棋への挑戦に相応しい難易度の作品の作品が揃ったので、楽しんでいただけたのではないかと思います。

 出題は2月23日。こちらからご覧いただけます。
 また出題作の一覧図面はこちらから取り出すことができます。
 ダウンロードパスワード はkyozai7です。

 それでは本日も2作品の結果発表を行います。

⑤ 梶谷和宏作
2302_05.png  

【作意】86飛成、同桂、74飛、75桂合(途中図)、同飛、同銀、68桂、同馬、
 77歩、同馬、65馬まで11手

【評点】(Aは3点、Bは2点、Cは1点とし、誤無解を除いて集計)
 平均点:2.46、A:6、B:7、C:0、誤解:0、無解:1、無評価:1

【作者のことば】
 いきなり75飛では同銀で77歩が打歩詰。それをどう解消するかです。
 要は65銀が75に動いた時に歩以外の駒があれば詰むので、直接75飛ではなく、ひとつ離して打って合駒を稼ぎたいというわけ。その邪魔をしているのが74桂なので、これを動かせば74飛と打てるというねらい(?)です。
 72歩配置は75への歩合いをできなくすると共に、飛車打ちを限定打にしています。
 手順に対して配置がやや大模様ですが、『打歩詰回避』を目指して論理的に解くことができる平易作です。

★初手は75飛と捨てる手が目に映ります。
 同玉なら65馬まで、しかし同銀と取られて77歩が打歩詰の禁手。
 そこでこれは打歩詰打開の問題に違いないと考えます。
 しかし87飛成では、87同とでも同銀成でも、77歩は打てますが86玉でダメ。
 65馬は77玉、65銀は67玉と逃げられます。
 色々考えてみるものの、持駒歩一枚では打開は困難。
 ここまで考えたところでようやく86飛成と捨て、同桂と取らせて出来た空間に74飛と打つことに気がつきます。
 初手75飛はダメですが、74から飛車を打てれば75で合駒が稼げます。
 75合は何でも取って同銀までは必然。
 となると75の合駒は、前に利く駒なら77から打てば詰むので、頭の丸い駒に決まります。
 角は品切れなので75桂合が最善の受け。

<途中図 75桂合>
05_75桂
 当然同飛と取りますが、同銀の局面が打歩詰。
 ここからは習いある打開手順です。
 まず68桂と打ちます。これは同馬の一手。
 これで歩を取る駒が出来たので77歩が打てます。
 同馬と取らせて65馬までの詰み。

 打歩詰打開を簡潔に表現した一局ですが、75飛の誘い手が強烈で、合駒請求に持ち込む序奏が良く出来ています。

【短評】
則内誠一郎:75飛の誘惑に負けると前半が盲点に入る。
金少桂:初手75飛捨ての誘惑が強い。
 74桂を動かすことで合駒請求のスペース空けての1枚補充は予想外。
★詰将棋に慣れるとついつい75飛と捨てる手が目に映ります。

奥鳥羽生:その場所を 空けてくれやと 貢ぎ物
★飛車の打ち場所は74でした。

RINTARO:初手がポイント。74飛をうまくカモフラージュしている。
西村 章:初手さえ気が付けば後は桂合入手から打歩詰打開の基本手筋でした。
★攻め方の邪魔駒は気がつきやすいのですが、玉方の桂を動かすというのが、気のつきにくい演出ですね。

松澤成俊:72歩が大きなヒント。
★解答強豪は目の付け所が違います。

作者:手順の割に駒数多くてお恥ずかしい。
★初形に言及される短評はありませんでした。

山下 誠:取歩駒を呼ぶ打歩詰打開の基本手筋。
松崎一郎:合駒の桂で馬を呼び寄せ打歩詰を打開する巧みな手順。
石田倫明:打ち歩詰め解消がよかった
★桂を入手すれば打歩詰打開の基本手筋の登場です。

中出慶一:合駒(限定合駒・桂)入手と打ち歩詰解消の手筋を学ぶ。
蛭子 毅: 飛車の成捨てで打ち場所を空け、限定合をすぐ使って打歩解除と手筋二つが盛り込まれているのですね
★教材に相応しい内容でした。


⑥ 原田 豪作
2302_06.png

【作意】41飛、31銀合、22銀、同玉、11角(途中図)、32玉、43銀、同角、
 42金、同銀、21飛成、同玉、22金まで13手詰

【評点】(Aは3点、Bは2点、Cは1点とし、誤無解を除いて集計)
 平均点:2.53、A:8、B:7、C:0、誤解:0、無解:0、無評価:0

【作者のことば】
 22銀から31角は一つの詰手筋かなと思い、投稿します。割と簡単だと思うので、客寄せになればいいなと思います。

★右上隅4×4の好形無仕掛図。
 初手は飛を打つしかありません。
 51から打つ手もありそうですが、34角の利きがあって52飛成と出来ないようでは詰みません。
 飛の打ち場所は41が正解。
 31歩合なら22銀、同玉、11角の好手順があり、32玉に42金と打って簡単。
 香や桂も同様。
 11角を防いで31飛合なら、32銀、同玉、42金、33玉に15角で脱出を止め、24歩の移動合には31飛成、23玉、22飛から駒余りの詰み。
 残るは金銀の合。
 31銀合が最善なのですが、手順を追って確認していきます。
 まず22銀と捨てます。
 32玉なら43銀の好手があり、22玉(同角は31飛成)、31飛成以下。
 22銀は同玉と取りますが、そこで11角が気持の良い一手。

<途中図 11角>
06_11角
 11角を同玉なら31飛成と一間龍の形で詰み。12玉とかわすのは21銀で簡単。
 11角には32玉と逃げます。
 ここで43銀と捨てるのが上手い手。
 同角と取らせて逃げ道を塞いでから42金が好手順。
 31銀合で金合だと、ここで同金と取ることになるので、31金まで早詰み。
 銀合だと31金は打てませんが、21飛成と捨てるのが決め手。
 同玉に22金までの詰み。

 無仕掛から限定合に捨駒連発と教材にうってつけの好局でした。

【短評】
蛭子 毅: 無仕掛は常に合駒に気を使いますね。最初は金でいいかと思っていました。
★金は最後に早く詰む順がありました。

西村 章:無仕掛図から41飛、31銀合が基本セットで後は捨駒連発の爽快手順でした。
★22銀から11角の筋が見えれば爽やかな手順が待っています。

則内誠一郎:持駒は多いけれど、完成度の高い好教材。
松澤成俊:限定打に限定合でいかにも教材らしい
★キビキビした手順に好感が持てます。

梶谷和宏:この簡素形で銀合いを出したのがうまい。
 全ての着手が詰将棋の基本であり、教材採用決定です(笑)。
 作者ですが⑥と⑬で、どちらかが吉松さんでどちらかが西村さんのような気がします。
★作者の原田さんは詰パラ誌でデパートを担当されています。
 解答や投稿で応援してあげてください。

占魚亭:頭4手が考え所。
山下 誠:2二銀から流れるような手順できれいに詰め上がる。
★合駒で考えますが、その後は捨駒のラッシュ。

松崎一郎:無仕掛で清涼詰。
RINTARO:無仕掛から初手に打った飛車を捨てて清涼詰。
奥鳥羽生:無仕掛と 思えぬ終り キレイなり
★清涼は いつも人気の 詰上り (笑)

中出慶一:持駒桂なしの無仕掛けが優れている。
 飛打に対する銀限定合から始まる手筋のオンパレードの軽快好作です。 
★確かに無仕掛では桂で手がかりをつけるパターンが多いですね。

石田倫明:すらすらできました
金少桂:4×4無仕掛けとして非常にすっきりした手順。
★手数順の配列でなければ、トップバッターでも良かったですね。

■創棋会の次回課題「取らず
 取れる駒があるのに取らずに攻める。実戦では損な手ですが、取れる駒をわざわざ動かしておいて、その跡地に駒を捨てるのは詰将棋ならではの味の良い手順です。
 「取らず」手筋というのは、若島正さんが『詰将棋パラダイス』2015年8月号に発表した論考で命名されたものです。この論考では、江戸時代の伊藤宗看にその源流があることと、意識的に作図が行われていたと考えられることなどが詳しく述べられていて、その表現の多様さに、あらためて無双や図巧の素晴らしさを再認識させられました。
 作家の皆さんからの多くの投稿をお待ちしています。
 選考は4月例会で行いますので投稿は4月14日(金)までにお願いします。
 メール投稿は blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)まで。

■創棋会の今後の予定
★コロナ情勢も落ち着きを見せており、5月8日からは5類に移行。
 またマスク着用も3月13日から個人の判断に委ねられることになりました。
 とはいえ、感染への懸念が無くなった訳ではありませんので、例会は以下のような運営とさせていただきます。ご理解とご協力をお願いします。
 ・発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。
 ・他の参加者との対話時などはマスクの着用を推奨します。
 ・会場は換気を行います。

***【次回例会】********************************
[日時] 2023年4月16日(日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302
 〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
 <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神
[課題] 詰パラ6月号作品展「取らず
[会費] 無料

***【次々回例会】******************************
[日時] 2023年6月18日(日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 303
[課題] 詰パラ9月号作品展~後日案内させていただきます。
[会費] 無料

**************************************************
・当ブログへのご意見や課題作の投稿はこちらまで 
 ⇒ blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)   以上


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続・創棋会の次回課題は「取らず」
<続・創棋会の次回課題は「取らず」>
・解答選手権
 初級・一般戦のオンライン会場、開催は4月8日(土)です。
 初級戦は13時30分から、一般戦は15時20分から開始。
 どなたでも参加いただけますので、奮ってご参加ください。
 速報ブログに関連記事が出ています。
 ルールや操作方法などが詳細に説明されていますので、操作方法の確認を事前に済まされることをお勧めします。
 操作方法のお試し画面も用意されていますので、操作に慣れておくと当日スムーズに解答できると思います。

・花
 散歩途上の光景。きれいな花が咲いているのはお店の壁です。
573.png

■「教材に使える10手台~詰手筋を学ぶ~」~結果発表中~
 創棋会のネット作品展「教材に使える10手台詰手筋を学ぶ~」には、たくさんの投稿をいただき、2月23日に16作を出題させていただきました。
  ★出題はこちらから
  ★出題作の一覧図面はこちらから取り出すことができます。
   ダウンロードパスワード kyozai7

 また解答は15名と多くの方からいただきました。
 作家の皆さま、解答者の皆さま、本当にありがとうございました。
 先日結果発表の1回目をブログにアップしました。
 以降の結果発表もどうぞお楽しみに!

■創棋会の次回課題「取らず
 取れる駒があるのに取らずに攻める。実戦では損な手ですが、取れる駒をわざわざ動かしておいて、その跡地に駒を捨てるのは詰将棋ならではの味の良い手順です。
 「取らず」手筋というのは、若島正さんが『詰将棋パラダイス』2015年8月号に発表した論考で命名されたものです。この論考では、江戸時代の伊藤宗看にその源流があることと、意識的に作図が行われていたと考えられることなどが詳しく述べられていて、その表現の多様さに、あらためて無双や図巧の素晴らしさを再認識させられました。
 作家の皆さんからの多くの投稿をお待ちしています。
 選考は4月例会で行いますので投稿は4月14日(金)までにお願いします。
 メール投稿は blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)まで。

◇例題紹介
 今回は「取らず」の多様な表現を『図巧』の名作で鑑賞したいと思います。

伊藤看寿作 『図巧』第2番(宝暦5年 1755年)
図巧02
 普通に攻めるなら、27金、15玉、16歩ですね。
 同との一手に同金と清算し、25角と出ます。
 同となら、そこで27龍、15玉、16歩、同と、24龍まできれいに詰みます。
 しかし25角と出たときに15玉と引かれると打歩詰。

<失敗図 15玉>
図巧02失敗
 29龍の力が強すぎるようです。
 3手目は16金と捨てるのが妙手。
 25のと金は16歩から清算すれば取れるのですが、そうはせずに16金とタダで捨てるのはちょっと気のつかない手です。
 16金を同玉と取れば、38角と引く手があり、15玉に16歩、同とと取らせて27桂が好手順。同とに16歩と打てば、同玉、27龍から詰み。
 16金は同とと応じるしかありませんが、そこで27桂と打ち、同とと取らせて龍の利きを止めてから、16歩、同玉に27龍や27角成とと金を取るのは15玉で打歩詰。27角不成と捻るのは26玉と寄られて詰みません。
 16同玉には25角と出るのが好手。

<1図 9手目:25角>
図巧02_25角
 25角を同となら27龍から16歩があります。もちろん15玉なら16歩で簡単。
 25角は同玉と取るしかありません。
 それには36角成と馬をつくり、15玉に、16歩、同玉、27龍と寄せの形をつくり、15玉に25馬と捨てるのが決め手。
 これで同とに16歩と打つことが出来、同とに24龍までの詰み。

 清算して取れると金を取らずに逃がし、25角の妙手で打歩詰を打開する味のある一局。

【詰手順】27金、15玉、16金、同と、27桂、同と、16歩、同玉、
 25角(1図)、同玉、36角成、15玉、16歩、同玉、27龍、15玉、
 25馬、同と、16歩、同と、24龍まで21手詰

伊藤看寿作 『図巧』第41番(宝暦5年 1755年)
図巧41
 俗手ですが67銀と数の攻めが有力そうです。
 同銀は同歩、55玉、64馬、45玉、46銀までの追い詰なので、単に55玉とかわして、55玉に64馬、45玉と進めば、これは打歩詰。
 初手は78桂が妙手。手が進まないと意味が分からない一手です。

<2図 初手:78桂>
図巧41_78桂
 55玉は簡単なので同馬と取りますが、そこで67銀と打ちます。
 わざわざ馬の利きが生じたところに打つのは指しにくいのですが、同銀なら同歩、同馬、に78桂、同馬から58桂と打つ手があり、55玉に64馬から銀打までの詰み。
 よって67銀には55玉と逃げます。
 64馬、45玉となると打歩詰。初手を入れた意味はまだ分かりません。
 ここで、44銀成、同玉、43金と盤上の金銀を捌いて飛車の活用を図ります。
 44金に45玉と逃げると、44金、同玉、33飛成、45玉、36龍、44玉、45歩、43玉、33龍までの詰みがあるので、同歩と取ります。
 これで33飛成と龍を作ることが出来ましたが、45玉と逃げられて相変わらず打歩詰。
 しかしここから素晴らしい好手順で打歩詰を打開していきます。
 まず57桂と捨てます。
 同歩成と取らせて、空き地に56銀と捨てるのが絶妙の一手。

<3図 15手目:56銀>
図巧41_56銀
 56銀を同玉なら36龍まで。
 57桂、同歩成の交換を入れずに単に56銀と歩を取るのは、同玉、36龍、57玉で脱出されます。57桂捨ては退路封鎖のためだったのですが、わざわざと金を作らせてその利きに56銀と捨てるのは実に味の良い手です。
 同馬と取ることも出来ますが、36龍、54玉、55歩、同馬、33龍まで。
 56銀には同とと応じて、36龍なら54玉で打歩詰に持ち込もうとしますが、56同とにはもう一度57桂と捨てるのが好手。
 57桂は同との一手ですが、これで遠く78馬の利きが通りましたから、36龍、44玉のとき、45歩が打てます。
 初手78桂で馬を呼んでおいたのはこのためだったのです。
 打歩詰打開のための巧妙な伏線でした。
 以下は同馬に33龍までの詰み。

 78桂の伏線と、57桂~56銀の取らず手筋がミックスされた巧妙な作品。

【詰手順】78桂(2図)、同馬、67銀、55玉、64馬、45玉、44銀成、同玉、
 43金、同歩、33飛成、45玉、57桂、同歩成、56銀(3図)、同と、
 57桂、同と、36龍、44玉、45歩、同馬、33龍まで23手詰

伊藤看寿作 『図巧』第38番(宝暦5年 1755年)
図巧38
 初手34龍のような手では56玉と逃げ込まれて困りますから、23角と打って56玉を防ぐのは当然の一手。
 しかし55玉とかわされると打歩詰。
 24龍が居なければ56歩、44玉、34角成で攻めが続くのですが…。
 たとえば35龍とすれば龍を消しながら銀は取れますが、同角成と強力な馬を作られ、56歩は打てるものの、44玉でこれ以上手がありません。
 3手目は46銀と捨てるのが巧妙な一手。

<4図 3手目:46銀>
図巧38_46銀
 46銀を同角成と取れば56歩が打てます。以下、同馬、35龍と銀を取り、45歩合、46銀、同馬、同龍、44玉(同歩は66角)、34角成、53玉、35角以下の詰み。
 同角不成と応じて打歩詰に誘うのは、35龍を同角と生角で取ることになるので、56歩、44玉に34角成と出来、53玉、52馬、44玉、33銀、同玉、34馬、22玉、14桂以下の詰み。
 46銀を角で取るのはダメなので同銀と応じるしかありません。
 ここで35龍が目の覚めるような好手。

<5図 5手目:35龍>
図巧38_35龍
 取れる銀を取らずに動かしておいて空き地に捨てる35龍は実に爽快な一手。
 35龍に45合は同角成、同と、65飛成までですから、同銀の一手。
 これで原形のまま24龍を消去できました。
 ようやく待望の56歩が打てます。
 44玉に34角成と馬を作り、53玉に52馬で香を入手。
 44玉に34馬では千日手ですから、45香が鋭い一手。
 同玉なら34馬までですから同とと取るしかありませんが、34馬を見せて64飛成とすれば、33玉と引く一手。
 そこで、34龍、22玉に23龍と捨てるのが決め手。
 同玉、34馬、22玉に14桂と跳ねれば、21玉、11歩成、同玉、33馬、12玉、22馬までの詰み。

 24龍を原形のまま消去する46銀捨てから35龍が絶妙の合せ技で、鮮やかな「取らず」を表現した一局。

【詰手順】23角、55玉、46銀(4図)、同銀、35龍(5図)、同銀、
 56歩、44玉、34角成、53玉、52馬、44玉、45香、同と、
 64飛成、33玉、34龍、22玉、23龍、同玉、34馬、22玉、
 14桂、21玉、11歩成、同玉、33馬、12玉、22桂成まで29手詰

■創棋会の今後の予定
★コロナ情勢も落ち着きを見せており、5月8日からは5類に移行。
 またマスク着用も3月13日から個人の判断に委ねられることになりました。
 とはいえ、感染への懸念が無くなった訳ではありませんので、例会は以下のような運営とさせていただきますので、ご理解をお願いします。
  ・発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。
  ・他の参加者との対話時などはマスクの着用を推奨します。
  ・会場は換気を行います。

***【次回例会】********************************
[日時] 2023年4月16日(日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302
 〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
 <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神
[課題] 詰パラ6月号作品展「取らず
[会費] 無料

***【次々回例会】******************************
[日時] 2023年6月18日(日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 303
[課題] 詰パラ9月号作品展~後日案内させていただきます。
[会費] 無料

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・当ブログへのご意見や課題作の投稿はこちらまで 
  ⇒ blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)   以上


【結果発表2回目】ネット作品展「教材に使える10手台」
【結果発表2回目】ネット作品展「教材に使える10手台」
■【結果発表】ネット作品展「教材に使える10手台~詰手筋を学ぶ~」<2回目>
 創棋会のネット作品展「教材に使える10手台詰手筋を学ぶ~」には、15名の方から解答をいただきました。
 解答いただいたのは次の方々です(敬称略、下線の方は教材シリーズに初解答)。
 皆様ありがとうございました。
  石田倫明、蛭子 毅、沖 昌幸、奥鳥羽生、梶谷和宏、金少桂、
  則内誠一郎、占魚亭、中出慶一、西村 章、松崎一郎、松澤成俊、
  山下誠、山城正樹、RINTARO
 多数の方に解答に取り組んでいただきましたこと、あらためて感謝申し上げます。

 詰将棋の面白さを味わえる詰手筋が満載で、二ケタ手数の詰将棋への挑戦に相応しい難易度の作品の作品が揃ったので、楽しんでいただけたのではないかと思います。

  出題は2月23日。こちらからご覧いただけます。
  また出題作の一覧図面はこちらから取り出すことができます。
  ダウンロードパスワード はkyozai7です。

それでは本日も2作品の結果発表を行います。

③ 西村 章作
2302_03.png

【作意】11角、21玉、33桂、32玉、31龍、同玉、41飛、32玉、
 22角成(途中図)、同玉、21龍まで11手詰

【評点】(Aは3点、Bは2点、Cは1点とし、誤無解を除いて集計)
 平均点:2.14、A:2、B:12、C:0、誤解:0、無解:0、無評価:1

【作者のことば】
 初手に打った角を捨てるのが狙いの作品。

★好形作。盤面が飛車と歩の2種類というのもいい感じです。
 桂を打つ手が見えますが、34桂は同龍で詰みませんし、14桂なら21玉でダメです。
 初手は11角と捨てるのが好打。
 同玉は31龍があり、32玉も33とで詰み。また同龍も34桂、32玉、52龍と歩を取れば簡単。
 11角には12玉と引いて凌ぐしかありません。
 31龍では同玉で続きませんから33桂と手がかりをつけます。
 これには32玉の一手ですが、今度は33桂が邪魔になって33と とは出来ません。
 33桂の拠点があるので31龍と飛車を入手します。
 同玉に飛車を打つのですが51と離して打つと42玉で脱出が止まらないので、41飛とくっつけて打つのが大切なところ。
 32玉と立って、21飛成では42玉で逃げられます。
 ここで決め手があります。
 初手に打った角を22に捨てます。

<途中図 22角成>
03_22角
 22角成は同玉の一手。
 そこで21飛成とすれば詰み。

【短評】
松崎一郎:初手、強手11角!
梶谷和宏:初手は34桂か11角ですが、11角と決まれば一直線。
★大駒捨ては詰将棋の醍醐味ですね。

山下 誠:打った角が捌けて気分のよい詰め上がり。
RINTARO:初手に打った角を収束できっちり成り捨てます。
★「打った駒を捌く」というのは気持の良い手段です。

則内誠一郎:角を初めと終わりに二度捨てるのが巧い。
金少桂:初手の取れない捨駒を最後に捨てる構成が気持ち良い。
★一粒で二度おいしい(笑)

占魚亭:下段に落とせば、後はラクラク。
石田倫明:すらすらできました
松澤成俊:紛れがほしいところ
★初手に気がつけば一気に詰みまで。迷うところがなかったかもしれません。

中出慶一:初手が「手筋+α」の好手、駒取りでない収束なら良かった!
★「駒取り」はちょっと残念でしたか。

蛭子 毅: 桂馬で伏線を作ってから龍から飛車へ打ち替える。
★生飛車を短く打換えるのがポイント。

奥鳥羽生:ウロウロし 無事帰宅かと 思いきや
★還元玉の詰上り。


④ 西村 章作
2302_04.png

【作意】12歩成、同歩、13桂打、同歩、12角(途中図)、同玉、24桂、同飛、
 23銀、同飛、11金まで11手詰

【評点】(Aは3点、Bは2点、Cは1点とし、誤無解を除いて集計)
 平均点:2.50、A:7、B:7、C:0、誤解:0、無解:0、無評価:1

【作者のことば】
 連続捨駒が狙いの作品です。

★25飛の守りが強力なので、正面から攻めるのは無理。
 玉で取ったら頭金までなので11角成と捨てる手が見えますが、32玉とかわされると、33金なら41玉、33銀なら43玉で詰みません。
 32玉と逃がさないように43角と打つのは、54龍が利いているのでダメ。
 初手は12歩成と端から手を付けます。
 32玉なら33銀、43玉、42金まで。
 また12同玉には34角の好打があり、23合なら21銀や22金で詰みがあり、21玉と戻れば11角成があります。
 12歩成は同歩と取るのが最善。
 続いて13桂と、1筋への捨駒。32玉は33銀があるので同歩の一手。
 13同歩で12地点が空いたので、12銀が筋のように見えます。
 同玉なら34角が狙いですが、32玉とかわされると33に打つ駒が金しか無く、これでは詰みません。
 12角と捨てるのが正解です。

<途中図 12角>
04_12角
 12角に32玉なら33銀があるので同玉と応じるしかありません。
 12玉には24桂と捨てるのが好手。
 23玉なら34金までですから、同飛の一手。
 そこで23銀が気持の良い手。
 同飛なら11金まで、また同玉なら22金まで。
 初手からすべて捨駒で気持ちよく詰ますことができました。

【短評】
RINTARO:すべて捨て駒で気持ちいいです。
石田倫明: 捨て駒5連発がよかった
松澤成俊:5手目に少し迷うが底は浅い🤣全部捨て駒で及第点
★捨駒は詰将棋の醍醐味です。
 連続捨駒で爽快感を味わえます。

山下 誠:リズムよく捨駒が続いて1一金が実現する。
★軽快な捨駒がリズミカル。

則内誠一郎:32玉には33銀。角では頭がつるっつる。
★1筋の攻撃に32玉なら33銀で詰むのが上手い変化処理。

奥鳥羽生:金銀を 後生大事に 守銭奴や
★金銀は後半に惜しみなく使います。

梶谷和宏:これは難解。24桂と打って、やっと筋が見えますが、12歩成から13桂打ちは教材に使える詰め手筋を超越しています。
 でも個人的にはこの作が一番かな。
 この序の難手と華麗な収束の融合は則内さんですかね?
中出慶一:3手一組(1手、3手、5手目)の好手順とその後の展開も優れた好作です。11手5作のうち一番優秀。
★手の組み合わせが作品の印象をアップさせる好例ですね。

占魚亭:歩を二段上げ、飛を二段下げて玉頭封鎖。
蛭子 毅: 一桝ずつ飛車をずらす収束がコミカルで楽しい。
金少桂:綿密な退路封鎖。連続で上がる歩と連続で下がる飛の対照も良い。
★歩をこじ開けて飛車を呼ぶ手順もこのような短評でさらに鑑賞が深まります。

★本日は西村さんの個展となりました(笑)

■創棋会の次回課題「取らず」
 取れる駒があるのに取らずに攻める。実戦では損な手ですが、取れる駒をわざわざ動かしておいて、その跡地に駒を捨てるのは詰将棋ならではの味の良い手順です。
 「取らず」手筋というのは、若島正さんが『詰将棋パラダイス』2015年8月号に発表した論考で命名されたものです。この論考では、江戸時代の伊藤宗看にその源流があることと、意識的に作図が行われていたと考えられることなどが詳しく述べられていて、その表現の多様さに、あらためて無双や図巧の素晴らしさを再認識させられました。
 作家の皆さんからの多くの投稿をお待ちしています。
 選考は4月例会で行いますので投稿は4月14日(金)までにお願いします。
 メール投稿は blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)まで。

■創棋会の今後の予定
★コロナ情勢も落ち着きを見せており、5月8日からは5類に移行。
 またマスク着用も3月13日から個人の判断に委ねられることになりました。
 とはいえ、感染への懸念が無くなった訳ではありませんので、例会は以下のような運営とさせていただきます。ご理解とご協力をお願いします。
  ・発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。
  ・他の参加者との対話時などはマスクの着用を推奨します。
  ・会場は換気を行います。

***【次回例会】********************************
[日時] 2023年4月16日(日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302
 〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
 <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神
[課題] 詰パラ6月号作品展「取らず
[会費] 無料

***【次々回例会】******************************
[日時] 2023年6月18日(日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 303
[課題] 詰パラ9月号作品展~後日案内させていただきます。
[会費] 無料

**************************************************
・当ブログへのご意見や課題作の投稿はこちらまで 
  ⇒ blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)   以上


【結果発表1回目】ネット作品展「教材に使える10手台」
【結果発表1回目】ネット作品展「教材に使える10手台」
■ネット作品展「教材に使える10手台~詰手筋を学ぶ~」<結果発表1回目>
 創棋会のネット作品展「教材に使える10手台詰手筋を学ぶ~」には、15名の方から解答をいただきました。
 解答いただいたのは次の方々です(敬称略、下線の方は教材シリーズに初解答)。
 皆様ありがとうございました。
  石田倫明、蛭子 毅、沖 昌幸、奥鳥羽生、梶谷和宏、金少桂、
  則内誠一郎、占魚亭、中出慶一、西村 章、松崎一郎、松澤成俊、
  山下誠、山城正樹、RINTARO

 多数の方に解答に取り組んでいただきましたこと、あらためて感謝申し上げます。
 詰将棋の面白さを味わえる詰手筋が満載で、二ケタ手数の詰将棋への挑戦に相応しい難易度の作品の作品が揃ったので、楽しんでいただけたのではないかと思います。

  出題は2月23日。こちらからご覧いただけます。
  また出題作の一覧図面はこちらから取り出すことができます。
  ダウンロードパスワードは 「kyozai7」です。

 それでは今日から出題順に結果発表を行ってまいります。

① 石川和彦作
2302_01.png

【作意】:61香成、同玉、71香成、51玉、61成香、同玉、73桂、51玉、
 63桂(途中図)、同馬、71龍まで11手詰。

【評点】(Aは3点、Bは2点、Cは1点とし、誤無解を除いて集計)
 平均点:2.20、A:3、B:12、C:0、誤解:0、無解:0、無評価:0

【作者のことば】
 詰手筋は「駒の打ち換え」で2枚の香を2枚の桂に打ち換える手筋を表現いたしました。

★53馬がいなくなれば71龍までという筋が見えていますから、43桂と打つ手が浮かんだ方が多かったのでは無いでしょうか。
 しかし43桂は同金と取られるとそれまで。
 そこで43がダメなら63から打てればと気がつけば正解に近づきます。
 それには63香が邪魔です。
 61香成、同玉と63香を消去。
 もう一度51玉の形に出来れば63桂が打てます。
 73に桂が打てれば51玉と押し戻せますが、それには73香が邪魔。
 ここまで来れば解けたも同然です。
 71香成と馬の利きに捨てるのが好手。同馬なら73桂で簡単です。
 51玉と逃げるしか無く、61成香と押売して、73香を消去。
 61同玉の局面では初形の63と73の2枚の香がきれいに消えました。
 これで73桂が打てます。
 51玉に待望の63桂。

<途中図:63桂>
01_63桂
 これは同馬の一手。
 邪魔な馬が動いたので、71龍までの詰み。
 2枚の香を続けて捨て、香の居たところに桂を2枚打つという構成はお見事。

【短評】
RINTARO:幕開けにふさわしい作品。
占魚亭:邪魔な香を消して桂打ちを実現。トップバッターにぴったりの軽作。
★邪魔駒消去を簡潔に表現した、幕開けに相応しい一局でした。

梶谷和宏:香2枚が桂2枚に置き換わった!
 73香の邪魔駒消去をこのような形で表現したのは実に上手い。
★易しい手筋も表現次第で面白くできるという好見本ですね。

山下 誠:2枚の香を2枚の桂に置き換える軽妙な手順。
蛭子 毅: そこは香ではなく桂の居場所、と言わんばかりに綺麗に置換する。
★シンプルですが、軽妙な表現。

奥鳥羽生:いつの間に 桂化けの術 忍者香
★奥鳥羽生さんは今回も全作に五七五で短評を下さいました。深謝。

則内誠一郎:香香と桂桂の対比。なかなか面白い着想。
★局面の対比もポイントですね。

松崎一郎:桂と香の攻めはテンポがあって気持良い。
★同じ飛び道具でも飛角と違って小駒の桂香は軽快なイメージ。

石田倫明:香が邪魔ゴマとは思いませんでした
★邪魔駒は必要そうに見えればそれだけ消去に妙味が増します。

中出慶一:邪魔駒消去と馬筋変更を通して、打ち換えの手筋を学ぶ。
★邪魔駒消去と打換えの二種類の詰手筋を学べました。

西村 章:初手43桂の誘惑を断ち切るのに若干の時間を要しました。
★43桂で少し悩んでもらえれば作意手順が引き立ちます。

松澤成俊:つい43桂などとしゃれてみたくなる🤣が作意はベタ詰め
★63桂の筋に気づけば一瀉千里でしょうか。

金少桂:詰手筋としては3~6手目が純粋な邪魔駒消去。
 だがそれよりも香2枚が桂2枚に置き換わる比較が視覚的に楽しめる作品。
 右に4つ寄せて配置を2枚減らしたい。内容の軽さ的にもその方がバランスが良いと思う。
★平行移動するとより簡素な構図になるのですね。
 43桂の紛れがある本図とどちらが良いのでしょうか。


② 吉松智明作
2302_02.png
【作意】14金、同玉、23角成(途中図)、同玉、32飛成、24玉、14馬、同玉、
 34龍、24合、26桂まで 11手詰

【評点】(Aは3点、Bは2点、Cは1点とし、誤無解を除いて集計)
 平均点:2.13、A:2、B:13、C:0、誤解:0、無解:0、無評価:0

【作者のことば】
 詰手筋は34角の邪魔駒消去。11手詰に緩い手が2回も入りお恥ずかしい次第です。

★「持駒に桂があれば打ってみよ」ということで16桂は考えられる手です。
 同歩に15金と捨て同玉に16飛が狙いですが、24玉、14飛、35玉で捕まりません。
 次に、58馬と36飛のバッテリーを活用することを考えます。
 しかし23角がそれを邪魔しています。
 どうやって23角を消すか、それが問題です。
 単純に23角成と捨てるのは、同香や同玉なら14金から34飛の両王手が決まるのですが、同銀と応じられると次の手がありません。
 初手は14金が正解。
 唯一のカナ駒を手放してしまうのですが、14同玉の局面で23角成と捨てるのが好手順。

<途中図:23角成>
02_23角
 今度は同銀なら34飛の両王手が決まります。
 やむを得ない23同玉に32飛成と龍を作り、24玉に14馬と飛び込むのが決め手。
 同玉に34龍と引けば24合に26桂までの詰み。

【短評】
石田倫明:初手23角成に囚われてしまいました
RINTARO:初手と3手目のコンビネーションがいいです。
★玉を14に呼んでから23角成が詰将棋らしい捨て方でした。

西村 章:3手目飛車を動かす誘惑を断ち切るのに若干の時間を要しました。
★一瞬でも開き王手したくなる?

奥鳥羽生:一四へ 二度の誘いに 玉ぐるり
★守備駒は動かず玉だけが動きました。

梶谷和宏:何も考えずに14金と打ちますね。さらにもう1回14への馬捨てが入ったのがよかった。
 「急所への着手」として教材に使える詰め手筋です。
★14金が第一感とは鋭い。

占魚亭:58馬を世に出すための手続き。
★馬が遊んでは話になりませんね。

山下 誠:玉を両王手筋に誘って角を捨てるのがうまい手順。
松崎一郎:両王手狙いの攻め。
★結局、両王手は作意順に出てきませんでした。

蛭子 毅: 二重王手を常に見せながらダイナミックに大駒を捌いていく。
★馬捨ては良かったのですが、飛車の捌きは11手としては緩かったか。

中出慶一:2枚角と金を犠牲にして、桂打ち詰めの局面に持ち込む手筋を学ぶ。
則内誠一郎:何が何でも14対34という執念で攻める。
★両王手は出ませんでしたが、34龍の形で詰上り。

金少桂:邪魔角をすぐ捨てずに一旦金捨てを挟むことで両王手をちらつかせて守備駒を無力化。
★お題の詰手筋は邪魔駒消去でした。14金を入れたのがミソ。

松澤成俊:冒頭の3手は良い味だがこの収束はいただけない
★後半はいかにも既成手筋で芸がありませんでした(汗)

★3手目角不成とする手があるのですが、どなたからも指摘はありませんでした。
(24玉とかわす手に、34角成~23馬の迂回手順や、16桂から11手駒余らず順があり、なんとなくモヤモヤします…)

■創棋会の次回課題「取らず
 取れる駒があるのに取らずに攻める。実戦では損な手ですが、取れる駒をわざわざ動かしておいて、その跡地に駒を捨てるのは詰将棋ならではの味の良い手順です。
 「取らず」手筋というのは、若島正さんが『詰将棋パラダイス』2015年8月号に発表した論考で命名されたものです。この論考では、江戸時代の伊藤宗看にその源流があることと、意識的に作図が行われていたと考えられることなどが詳しく述べられていて、その表現の多様さに、あらためて無双や図巧の素晴らしさを再認識させられました。
 作家の皆さんからの多くの投稿をお待ちしています。
 選考は4月例会で行いますので投稿は4月14日(金)までにお願いします。
 メール投稿は blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)まで。

■創棋会の今後の予定
★コロナ情勢も落ち着きを見せており、5月8日からは5類に移行。
 またマスク着用も3月13日から個人の判断に委ねられることになりました。
 とはいえ、感染への懸念が無くなった訳ではありませんので、例会は以下のような運営とさせていただきます。ご理解とご協力をお願いします。
 ・発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。
 ・他の参加者との対話時などはマスクの着用を推奨します。
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[日時] 2023年4月16日(日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302
 〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
 <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神
[課題] 詰パラ6月号作品展「取らず
[会費] 無料

***【次々回例会】******************************
[日時] 2023年6月18日(日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 303
[課題] 詰パラ9月号作品展~後日案内させていただきます。
[会費] 無料

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解答締切は3月21日! ネット作品展「教材に使える10手台」
<解答締切は3月21日! ネット作品展「教材に使える10手台」>
 ネット作品展「教材に使える10手台」、解答締切が迫っています!
 3月21日(火・祝)が締切りです。
 易しい作品もありますので、1題でも解ければ奮って解答ください。

・棋楽会
 3月13日(日)は棋楽会に参加。
 陽気が良く、思わず車中で居眠りし、乗り換えをうっかり(汗)。
 迂回手順で(笑)、現地到着が遅れました。
 本日の参加者は明石館長を含めて6名。
 まず中村宜幹さんからネットで発表された裸玉の紹介。
 はる筆線屋という方がnoteで公開されていますが、6段目の裸玉三部作という驚きの内容。
 その後は例によって山下さんによる好作紹介。
 ボリュームのある内容で、あっという間に3時間近くが経過。
 いつものことながら豊富な知識に敬服。
 所用があり余韻に浸ること無く帰路につきましたので、今回は写真がありません。
 山下さんはじめ参加者の皆さん、楽しいひとときを過ごすことが出来、ありがとうございました。

・プロ棋戦
 藤井五冠、王将戦は第6局を制し、4勝2敗で初防衛。
 もっともっと対局を見ていたかったお二人の対戦でした。
 そしてもう一つの大勝負が19日の棋王戦第4局。藤井さんが6冠目のタイトルを手にするか、渡辺棋王がタイに持ち込むか、注目の一戦です。
 また同日には(笑)NHK杯戦の決勝戦も放映されます。こちらはA級昇級を決めた佐々木勇気さんと藤井さんの対決。デビュー時の29連勝時を想起させる組み合わせ。

・花
 暖かい日が続き、気が向けば近所を散歩する機会も増えました。
 これは散歩の途中で見かけたもの。
570.png

■ネット作品展「教材に使える10手台」出題中
 創棋会のネット作品展「教材に使える10手台~詰手筋を学ぶ~」には、たくさんの投稿をいただきました。作家の皆さま、ありがとうございました。
 創棋会例会で選考の結果、16作を出題させていただくことになりました。
  ★出題はこちらから
  ★出題作の一覧図面はこちらから取り出すことができます。
   ダウンロードパスワード kyozai7

 出題作の作者は次の12名の方々です。あらためて感謝申し上げます。
 (敬称略、作品順ではありません、複数作投稿された方もいらっしゃいます)。
   石川和彦、沖昌幸、奥鳥羽生、梶谷和宏、金少桂、柴田昭彦、則内誠一郎、
   中出慶一、西村章、原田豪、RINTARO、吉松智明

 詰将棋の面白さを味わえる詰手筋満載の作品揃いです。
 出題は手数順、11~19手です。今回は「力試し」はありません。
 二ケタ手数の詰将棋への挑戦に相応しい難易度の作品ばかりですので、1問でも解ければ解答下さい。
 ◇解答送り先: blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えてください)
 解答締切3月21日(火・祝)
 ◇解答要領 : A・B・Cの三段階評価と短評をお願いします。
 ※呈賞:2名

■創棋会の次回課題「取らず」
 取れる駒があるのに取らずに攻める。実戦では損な手ですが、取れる駒をわざわざ動かしておいて、その跡地に駒を捨てるのは詰将棋ならではの味の良い手順です。
 「取らず」手筋というのは、若島正さんが『詰将棋パラダイス』2015年8月号に発表した論考で命名されたものです。この論考では、江戸時代の伊藤宗看にその源流があることと、意識的に作図が行われていたと考えられることなどが詳しく述べられていて、その表現の多様さに、あらためて無双や図巧の素晴らしさを再認識させられました。
 作家の皆さんからの多くの投稿をお待ちしています。
 選考は4月例会で行いますので投稿は4月14日(金)までにお願いします。
 メール投稿は blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)まで。

◇例題紹介
 今回は二歩禁を利用した「取らず」を紹介します。
 例題をご覧いただいて妙味を感じていただければ幸いです。

富樫昌利作 詰パラ1992年1月(半期賞、『現代詰将棋短編名作選』第176番)
富樫_現短176
 初手55桂と打つのは、32玉なら41角成で決まりますが、33玉と寄られると詰みません。
 54金と打つのが正解。これなら33玉には44金、32玉、33香で詰みます。
 32玉にも33香と捨てれば同玉、44金、32玉、54角成で手が続きます。
 31玉と角を取りながら逃げるのは、21とから簡単に詰むので、43合の一手ですが、平凡な43歩合で困ります。

<失敗図 43歩合>
富樫_現短176紛れ
 そこで攻め方は工夫します。
 33同玉に45桂と捨てます。

<1図 5手目:45桂>
富樫_現短176_45桂
 45桂に32玉なら、44桂、31玉、41角成が好手順で、22玉とかわしても33桂成の軽手があり詰みます。
 45桂は同歩と取るしかありませんが、そこで44金と寄ります。
 ただで取れる44の歩を45に動かしてから44金と寄るのが巧妙な手順で、32玉に54角成と進めたとき、意味が分かります。
 31玉は21とがあるので43に合駒するしかないのですが、今度は歩合が利きません。
 失敗図では43歩合で詰まなかったのですが、44の歩を取らずに45歩に動かしてから44金と攻めたので43歩は二歩禁で打てなくなったのです。
 43の合駒が香や飛では同馬、同桂に33から打って単。金合も22金があります。
 43桂打が面倒ですが、33金の好手があり、取れば44馬から22馬で詰むので、31玉と逃げますが、64馬、42合に、32歩から駒余りの詰み。
 最善は43銀合です。

<2図 10手目:43銀合>
富樫_現短176_43銀
 43銀合を同金と取ると同桂なら、33銀、31玉(同玉は44馬以下)、64馬から詰むのですが、31玉と引かれると詰みません。
 ここでは上手い手がありました。
 同馬と取り、同桂に33金と捨てるのです。
 同玉の一手ですが、22銀、32玉、44桂までの詰み。

 二歩禁による歩合防止のために45桂と捨てるのが巧みな手段。43銀合にも意外性がある好局。

【詰手順】54金、32玉、33香、同玉、45桂(1図)、同歩、44金、32玉、
 54角成、43銀合(2図)、同馬、同桂、33金、同玉、22銀、32玉、
 44桂まで17手詰

吉松智明作 詰パラ2018年4月(『百日紅』第187番)
吉松201804
 他に手も無いので、35歩、同玉とします。
 そこで17馬とのぞく手があります。34玉なら、44馬、同香、35歩から詰むのですが、17馬に26歩と移動合されると、同馬、同香、47桂、34玉で打歩詰。
 35同玉に47桂、34玉と進むと打歩詰。そこから45角、同香、64飛と合駒請求しても44歩合と受けられて、歩以外の駒が手に入らず、打歩詰が打開できません。
 35同玉のとき46馬と捨てるのが好手。

<3図 3手目:46馬>
吉松201804_46馬
 46馬に34玉は、45角、同香、同馬と香を入手し、同香に35歩以下の詰みがあるので、同歩と取ります。
 27桂と拠点を作っておいて、34玉に45角と捨て、同香に64飛と合駒を訊きます。
 44合の一手ですが、前に利く駒は、同飛、同香に、取った駒を35に打って詰み。
 頭の丸い駒で受けなければいけないのですが桂は品切れなので、44の合駒は角が最善。

<4図 10手目:44角合>
吉松201804_44角
 44角合は同飛と取るしかありません。
 同香に52から角を打つと43香合とされ、同角、同桂、35歩、同桂で詰みません。
 12角と右側から攻めるのがポイント。
 これも23角合と受けて打歩詰を打開させないようにします。
 同角成、同香に、52角と打ちます。
 今度43香合なら、23が埋まっているので同銀不成という手があり、同桂に35香まで。
 よってもう一度43に角合で粘りますが、同角成、同桂で35歩を打つことが出来、同桂に43角までの詰み。

 二歩禁利用の取らず手筋に、角合が繰り返される楽しい作品です。

【詰手順】35歩、同玉、46馬(3図)、同歩、27桂、34玉、45角、同香、
 64飛、44角合(4図)、同飛、同香、12角、23角合、同角成、同香、
 52角、43角合、同角成、同桂、35歩、同桂、43角まで23手詰

伊藤宗看作 『無双』第9番(享保19年 1734年)
無双9
 本作は以前当ブログでも取り上げたことがあります。そちらも良かったらご覧下さい。
 53飛と31角を活用できる形に持って行きたいところです。
 72香、同玉、83銀成とすれば、71玉には61と、同玉、63飛成があるので同玉の一手。
 続いて74銀と金を入手。同角は93香成から84桂で詰むので同玉と応じます。
 そこで65金と捨てるのが好手。
 83玉と逃げれば、93香成、72玉、84桂と跳ねて詰み。
 同歩なら54飛成なので、同玉と取るしかありません。
 54飛成と飛車を取り、同玉に53飛、65玉、56飛成と進めれば、盤上に龍を作り、31角の利きが64まで通りました。
 64角成と歩を取って馬を作ります。
 83玉の一手に、93香成、72玉、84桂、71玉と調子良く手が進みますが、53馬、62歩合となると、同馬、同銀に72歩が二歩で打てません。
 62歩合の局面まで進むと詰みません。

<失敗図 62歩合>
無双9失敗
 失敗図になる前に何か手段はなかったでしょうか?
 実は素晴らしい好手があったのです。
 56飛成と龍を作り、74玉と引いたところで、65龍と捨てます。

<5図 15手目:65龍>
無双9_65龍
 65龍と歩頭にただで捨てるとは実に豪快な一手です。
 同玉なら64角成まで。
 63玉も53角成、72玉、64桂、83玉、85龍以下。
 83玉も85龍があります。
 65龍は同歩と取るしかありません。
 そこで64角成と馬を作ります。
 ただで取れる64の歩を取らず、強力な龍を捨てて動かした後に角を成るというのは絶妙の手順。
 64角成には83玉、93香成、72玉、84桂、71玉、53馬と進めますが、65に歩が残っているので62に歩合が出来ません。
 これが65龍で歩を吊り上げておいた効果です。単に64角成と歩を取ると後に62歩合が生じるので、あらかじめ65龍、同歩の2手を交換しておいたわけです。
 53馬には62に何を合しても同馬と取って詰みます。
 本譜は62香合とし、同馬、同銀に72香が打てますから、81玉に92成香までの詰み。

 取らず手筋で二歩禁を利用して歩合を防ぐのが本局の狙いですが、65龍という豪快な一手で表現した名作です。

 また「無双」には他にも二歩禁を利用した「取らず手筋」の作品があり、特に2番が有名ですが、過去に当ブログでも紹介していますので、こちらを参照ください。

【詰手順】72香、同玉、83銀不成、同玉、74銀、同玉、65金、同玉、
 54飛成、同玉、53飛、65玉、56飛成、74玉、65龍(5図)、同歩、
 64角成、83玉、93香成、72玉、84桂、71玉、53馬、62香合、
 同馬、同銀、72香、81玉、92成香まで29手詰

■創棋会の今後の予定
★コロナ情勢も落ち着きを見せており、5月8日からは5類に移行。
 またマスク着用も3月13日から個人の判断に委ねられることになりました。
 とはいえ、感染への懸念が無くなった訳ではありませんので、例会は以下のような運営とさせていただきます。ご理解とご協力をお願いします。
 ・発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。
 ・他の参加者との対話時などはマスクの着用を推奨します。
 ・会場は換気を行います。

***【次回例会】********************************
[日時] 2023年4月16日(日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302
 〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
 <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神
[課題] 詰パラ6月号作品展「取らず
[会費] 無料

***【次々回例会】******************************
[日時] 2023年6月18日(日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 303
[課題] 詰パラ9月号作品展~後日案内させていただきます。
[会費] 無料

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